2008年1月17日木曜日

患者の暴力、放置しません 道警OB配置やマニュアル作成 道内の病院

治療方針をめぐる患者と病院のトラブルなどが増える中、道内で暴力や暴言を吐く患者への対策に本格的に取り組む病院が目立っている。スタッフや他の患者に危害が及ぶのを防ぐため、病院内に警察官OBを配置したり、対応マニュアルを作成する動きが進む一方で、「もっと患者との信頼関係を築く努力を」との声も上がっている。
 「おめえ、刺すぞ」。昨年十月、札幌市内のある病院に五十代の男性患者の怒声が響いた。入院中、体調不良で「点滴してくれ」と言う男性に、医師が別の治療を勧めたのが発端。男性は他の患者もいる病室で医師を床に座らせ、看護師に「家族に危害を加える」「火を付ける」とすごんだ。
 暴言を続けたため退院後、道警に通報した。今回は暴力こそなかったが、夜勤の看護師がベッドに押し倒され、精神的ショックで長期休暇を余儀なくされたこともあった。
 道看護協会が、二○○五年に道内の看護師約六百人を対象に行った初の調査では、三人に一人が言葉や身体的暴力を職場で経験。そのうちの七割は相手が患者だった。
 ただ、暴力を受けたことを上司らに報告していたのは半数で、「報告しても仕方ない」「相手は病人だから」といった理由が大半だった。
 調査を担当した白石脳神経外科病院(札幌)の大湯順子看護部長は「患者を非難してはいけないという風土の中で、理不尽な行為を受けても現場は声を上げにくい」と指摘。院内暴力を防ぐには「組織として、暴力を許さない姿勢を打ち出すことが重要」と訴える。
 同病院は「暴力被害防止マニュアル」を作り、緊急時の対応、被害者へのケア態勢をルール化。被害が起きた場合、院内の事故防止対策委員会が再発防止策に取り組む。
 札医大病院は昨秋から、道警OBを「病院安全管理専門員」として配置。トラブルが多い患者らの苦情を受ける際に同席する。対応に慣れた警察OBの配置で、問題収拾に役立っているという。病院の出入り口に監視カメラを設置する民間病院も出てきた。
 札医大病院への苦情などの相談件数は○七年度上半期は三百十五件で、五年前の同期の二倍近い。「インターネットで調べた治療法と医師の方針が違う」「入院を拒否された」など、医師への苦情が目立つ。ある病院関係者は「患者の権利意識向上は悪いことではないが、『治らないなら補償しろ』など無理難題が増えた」とこぼす。
 ただ、トラブルを生む背景には、医師の説明不足など病院側の対応への不信感もある。医療消費者ネットワークメコン(東京)の清水とよ子代表は「暴力は言語道断だが、病院は患者本位のサービスを充実し、信頼関係を築く努力を忘れないでほしい」と話している。

(北海道新聞より引用)

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