2008年3月28日金曜日

聴覚障害不正 徹底的な解明が必要だ

 聴覚障害の身障者手帳不正取得疑惑にはあきれるばかりだ。
 札幌の耳鼻咽喉(いんこう)科医の診断を基に手帳を取得した七百十人中、すでに八割以上の人が手帳を返還した。
 調査が進むにつれ、明らかになったのは道の不手際だ。道はまず、全容解明に向けた徹底調査を急ぐべきだ。
 この問題では、二〇〇四年末に道に告発があり、この医師の診断に基づく手帳交付申請の扱いを保留する措置を決めた。
 だが、〇一年末にはすでに、医師の診断書に不正の疑いがあるとして、札幌市への指定医取り消し要請を道の担当者間で検討していたことが分かった。
 芦別市や赤平市も、この医師の診断による手帳取得者が急増していることを道に連絡していた。道の対応の遅れは明らかだ。
 さらに申請に対する保留の扱いを決めた後も、道は七十人以上に手帳を交付していた。なぜこんな事態になったのか、つまびらかにする必要がある。
 医師も、不正はないというなら、自らそれを説明すべきだろう。
 厚生労働省は、不正が確認された場合、診断書作成の指定医取り消しや手帳取得者など関係者の刑事告発を、道や札幌市などに求めている。札幌市もこの医師の指定医取り消しと告発の方針を決めた。
 道も実態調査を進め、しかるべき措置を講じなければならない。
 手帳取得者の中には、看護師や元市議、元民生委員といった福祉につながりのある人もいた。福祉の信頼性を損なう結果になったと言えるだろう。
 聴覚障害二級の手帳を交付されると、医療費の助成や各種税の減免などを受けられる。
 芦別や赤平では〇六年度だけでも、百四十人近くが医療費助成を受け、その総額は二千三百万円に達した。大半の人が手帳を返還しており、不正受給の疑いも指摘されている。
 手帳交付とは別に、この医師の診断で障害年金を受けていた人が百四十人いることも分かった。問題発覚後、受給を辞退した人も少なくない。
 福祉を食い物にしたと言われても仕方ない。
 道内では最近、滝川の介護タクシー代不正受給や、知的障害者の障害年金横領など、福祉をめぐる問題が相次いでいる。
 福祉は国民の税金などで賄われる。厳格なルールにのっとって運用されなければならないのは当然だ。それでもなお、悪用されるもろさが露呈した場合は、仕組みを見直していかなければならないだろう。
 そのためにも、今回の不正疑惑では、責任の所在がどこにあるか明らかにしなければならない。

(北海道新聞より引用)

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